誰しも住み慣れた自宅で生活したいという思いは同じだと思いますが、自宅での介護は想像を超える大変さが伴います。この記事では、自宅介護が大変な理由とその負担を軽くする方法について、体験談も交えて解説します。
自宅介護が大変と言われる3つの理由
24時間気が抜けない生活
認知症や要介護状態の家族を自宅で介護する場合、食事、排泄、入浴、服薬管理など生活のあらゆる場面で介助が必要になり、日中だけでなく夜間の対応も余儀なくされま。これにより、慢性的な睡眠不足や体力的な限界に悩まされる介護者が多くいます。
「トイレのたびに夜中に起きなければならず、1日に2〜3時間しか眠れない日もありました」
と語るのは、70代の母親を自宅で介護する50代の女性。介護者自身の健康も蝕まれてしまうのです。
精神的ストレスと孤独感
自宅介護では、家族間での役割の偏りや被介護者とのコミュニケーションの難しさから、精神的なストレスも大きくなります。
- 「親に感謝されない」
- 「頼れる人がいない」
- 「外出もままならず、社会とのつながりが絶たれたような感覚になる」
こうした状況から、介護うつや社会的孤立に陥るケースも少なくありません。
私の母の場合、認知症の初期には「物取られ妄想」や「被害妄想」があり父に対しても攻撃的な言葉を言う日々が続いていました。
毎日一緒に生活している父にとっては相当なストレスがかかっていたと思います。
幸い当時の私は訪問看護師の仕事をしていたので、ある程度は客観的に現実を捉えることができ、母というよりは父の精神的・身体的なサポートが重要と感じていました。
父の精神的ストレスの限界がきて母に手を出すようなことが一度でもあれば、すぐに母を入院もしくは施設入所させ物理的に距離を取ることすると父には伝えていました。
経済的な負担
介護に必要な道具・サービス利用料・住宅の改修など、意外と見えにくい費用がかかります。さらに介護のために仕事をセーブせざるを得ない人も多く、「収入が減ったのに支出は増える」という経済的プレッシャーも深刻です。
実際、私が訪問していた方の中にも40代〜50代で親の介護をするために仕事を辞めて実家に帰り、貯金を切り崩しながら生活している人もいました。
自宅介護の負担を軽減するためにできること
公的サービスを積極的に活用する
ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談することで、デイサービス・ショートステイなどの支援を受けやすくなります。
家族・きょうだいで役割分担する
介護を一人で抱え込むのではなく、家族全体で分担する仕組みを早期に作ることが重要です。
私には兄と弟がいます。
看護師という仕事柄もあり主に私が両親の介護に関わっていますが、できるだけ情報は共有するようにし、それぞれができることをできる時に分担することにしています。
自分自身のケアを忘れない
自分が健康でなければ介護は続きません。定期的に休みを取り、趣味や交流の時間も大切にしましょう。
頑張り過ぎないことはとても重要です。
自宅介護が限界だと感じたときは?
「もう無理」と感じる前に、ショートステイの利用や、施設入所も選択肢として検討しましょう。介護保険制度を正しく理解することが、自分と家族を守ることにもつながります。
まずはケアマネージャーや地域包括支援センターに相談することをおすすめします。
まとめ
自宅介護は尊い選択である一方で、大きな負担がのしかかります。大変だと感じるのは自然なことであり、自分を責める必要はありません。必要な支援を受け、少しでも負担の少ない介護環境を整えることが、長く続ける秘訣です。
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