親の施設入所は家族にとっても大きな決断です。
「ようやく入所できてホッとした」と思ったのも束の間、思わぬトラブルに直面して困っている方も少なくありません。
この記事では、施設入所初期によくある高齢者のトラブルとその対応策を解説します。
不安を軽減し、家族も安心してサポートできるヒントをお届けします。
施設入所の初期トラブルでよくあるケース
帰宅願望が強くなる
「家に帰りたい」「なんでここにいるの?」という発言が目立つのはよくある現象です。
特に認知症の方は環境の変化に敏感で、混乱を起こしやすい傾向があります。
私の母も病院を退院して直接施設に入所しました。
一旦家に帰らせてあげたかったのですが、帰れば「施設には行かない!」と言い張るのは目に見えていたので、心の中でで母に謝りながら施設に向かったのを覚えています。
母がかわいそうでもあり、家族として罪悪感でいっぱいでした。
暴言・暴力・拒否反応

環境に慣れないストレスから、職員や家族に対して攻撃的になることもあります。
「裏切られた」と感じてしまう方も少なくありません。
私の母も同じように入所して3ヶ月くらいは職員の方に暴言を吐いて強い拒否反応を見せていました。
「なぜ自分はここにいなければいけないのか」と興奮するので、職員の方があの手この手で気をそらせたり、気分転換に外に散歩に連れて行ったりとそれは大変だったと思います。
家族としては認知症があるとはいえ職員さんにご迷惑をおかけしているのが本当に申し訳なく思いました。母の拒否反応が強かったため、困ったときは私に電話してもらうようにお願いすることもありました。
しかし、母は私の声を聞くとさらに興奮してしまい、私もつい怒ってしまって結局は逆効果でした。
仕事では優しい看護師ができるのに、家族となると感情がストレートに入ってしまい上手くいかないことがとてもハガユクも感じました。
食事・排泄・入浴への拒否
これまでの生活習慣と変わることで、介助を受けることに抵抗を示すことがあります。
母の場合、デイサービス利用中は入浴への拒否はありましたが、入所後は自分で動けないため入浴への拒否はなかったようです。
母はパジャマを着ていると入院しているという認識になり暴言も落ち着くため、ほとんどパジャマ姿で過ごしていました。
他の入所者とのトラブル
同室の人や食事の場面で他人と衝突するケースもあります。
環境や人間関係にストレスを感じることが原因です。
トラブルを防ぐために家族ができること
定期的な面会で安心感を
「自分は見捨てられていない」と感じられることで、不安が軽減されます。
入所直後は頻繁に顔を見せることで、信頼関係が保たれます。
母の場合は、直接会うことでさらに帰宅願望が強くなりそうだったので、しばらく状態が落ち着くまでは面会は控えていました。
いつも母の状態は気になり、担当のケアマネージャーに連絡して状況を聞いてみたりしました。
その人の性格や状況で面会の時期は検討が必要だと思います。
入所前から「なぜ施設に入るのか」を共有
納得感のない入所はトラブルの原因になりやすいです。
本人の気持ちを尊重し、丁寧な説明を心がけましょう。
母とは元気な頃から施設入所ついては話はしていました。可能な限り家で生活できるようにサポートはするが、どうしても家での介護ができなくなったら施設にお願いすることになると伝えていました。
母も入所はできるだけしたくないと言っていましたが、病状から考えて在宅での生活は不可能になり仕方なく施設入所になりました。
元気な頃は施設入所を前向きに考えられていても、いざ入所となるとそう簡単には心の切り替えができないようです。
施設職員とこまめに連携
トラブルが起きた時、すぐに共有して対策を話し合える関係性を築いておくことが大切です。
我が家の場合、施設の方もケアマネージャーさんも親身になって相談に乗ってくださりとても心強かったです。
安心して相談できる人がいると家族の心の負担はかなり軽減されます。
慣れるまでの期間と心構え
多くの場合、1〜3ヶ月で少しずつ環境に慣れていくと言われています。
焦らず「今は不安定でも、いつか落ち着く」と信じて見守る姿勢が必要です。
母も施設に慣れて落ち着くまで約3ヶ月くらいかかりました。
その間も家族としては心配で、職員さんに日々迷惑をかけているのがとても心苦しかったです。
主治医の先生からも「徐々に環境に慣れていきますから心配いりませんよ」と言われました。この言葉がどれだけ家族の心を軽くしてくれるか、自分が実際に経験して初めて感じることができました。
また、職員の方も家族の協力を歓迎しています。家族と施設が一体となって支えることが、安心できる生活への第一歩になります。
まとめ
高齢者の施設入所は、家族にとっても心が揺れる大きな出来事です。
入所初期のトラブルは「慣れない環境への自然な反応」と考え、家族と施設が協力しながら安心できる生活を築いていくことが何よりも大切です。
「うちだけじゃなかった」と思ってもらえるだけでも、気持ちが軽くなるはずです。
焦らず、少しずつ新しい環境に慣れていけるように見守りましょう。
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