認知症が進行すると、「財布が盗まれた」「誰かが悪口を言っている」といった被害妄想が見られることがあります。これは記憶障害や不安感が背景にあり、本人には本当のことのように感じられてしまいます。
私の母も70代半ばを過ぎた頃から急に
「ポケットティッシュやおたまがなくなった!誰か取って行ったんだと思う。」
などと言うようになりました。
この頃はまさか認知症になり始めているとは思いもせず、勘違いか自分でどこかに置き忘れているのを人のせいにしているんだと思っていました。
しかし、訴えは続き家族も「もしかして、誰か侵入者がいて本当に物がなくなっているのかも・・・」と心配になり、家の周りに防犯カメラまで取り付けました。
しっかり者の母がそんなおかしな事を言うはずがない・・・と家族は信じている時期でした。
被害妄想が起きる原因

- 記憶障害:物を置いた場所を忘れる
- 環境の変化:施設入所や引越しなど
- 不安感や孤独感:周囲との関係が希薄になる
- 聴覚・視覚の低下:誤解しやすくなる
この頃の母は元気でデイサービスなども行っておらず、自宅でこれまでと変わらない生活をしていました。
ただ、同じことを言うなどの記憶障害は少しずつ出ていたように思います。
母はとても働き者で、友達も多く周りからも信頼される人でした。
しかし母も何かしら自分の変化に気づいていたのかもしれません。
「認知症にはなりたくない・・・」
と元気な頃から言っており、
「もしかしたらそうなのかも・・・」
と、気の強い母は人に言えない不安を一人で抱えていたように思います。
今思えば、母の被害妄想は自分が自分でなくなる「不安」が原因だったのかもしれません。
家族ができる対応方法

認知症の方が妄想を話し始めたとき、「そんなことないよ」と否定してしまうのは逆効果です。
以下のような対応が有効です:
- 共感する言葉をかける(例:「それは心配だったね」)
- 気をそらす(話題を変える、散歩に誘う)
- 生活環境を見直す(物の置き場を決める、安心感を与える)
確かに「否定しない」はとても大事な事と頭ではわかっているのですが、私の経験では「つい否定したくなる」が本音です😅
実際、何度もおかしな事を言うと「否定」もしてきました。
そこには「いつまでもしっかりした親であってほしい」という子供のエゴがあったのかもしれません。
「寄り添って」、「優しく」と思っても毎日同じことが繰り返されると、介護している方のストレスが溜まり心身ともに疲れてしまいます。
専門家に相談することも大切
対応が難しいと感じたときは、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談するのが安心です。本人だけでなく、家族のストレス軽減にもつながります。
私も母を大切に思うからこそ感情が入って口喧嘩になることもしばしばありました。
その度に、母も私も父も悲しい気持ちになりました。
だからこそ、冷静に判断してくれる第3者に介入してもらうことで家族間の程よい距離感が保てるように思います。
まとめ
「認知症の被害妄想は本人の苦しみのサイン」です。家族だけで抱え込まず、周囲の支援を上手に活用していきましょう。
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